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便利さの裏側

Amazon Prime Video,Netflix,U-NEXT,・・・世の中には魅力的な動画配信サービスがたくさん存在します。
自宅でたくさんの映画やドラマが観られるのですから,最高のサービスと言っても過言ではありません。
ただ私の場合,こういうサービスに加入してしまうと,ずっと映画を観続けてしまい,一生家から出られなくなる自信がありましたので,意識的に避け続けてきました。

 

しかし,意識しないようにすればするほど気になるという現象があるように,動画配信サービスを避ければ避けるほど気になってしまい,苦しくなる日々が増えていきました。
ここまで追いつめられてしまうと結末は見えているようなものです。とうとうサービスに加入してしまいました。
自分の意志の弱さを嘆くとともに,好きな時に映画を観ることができるという最高の環境を獲得し,充実感を覚えています。

 

そのような中,私の耳に上映中の映画『侍タイムスリッパ―』の情報が入ってきました。
当初は単館上映でスタートしたそうなのですが,口コミでその面白さが広まり,いまや全国で上映されるまでに至った話題の映画です。
時代劇好きな身としては,これは観に行きたい!とは思ったものの,いや,でも少し待てば動画配信サービスでそのうち配信されるかもしれない,今の映画館の料金は決して安くはないぞ…とサービスに加入したがゆえに変に身動きがとりにくくなるという事態が発生しました。
便利さの裏にはこういう弊害もあるのですね。

 

さんざん逡巡した挙句,観に行った訳なのですが,結果的には行って良かったと素直に思いました。
自宅ではほぼ再現不可能な音の迫力,映像から感じるダイナミックさは素晴らしいですし,何よりお客さんとの一体感のようなものを感じられたのが良かったです。
落ち着いた内容の映画の場合はあまり感じる機会がないかもしれませんが,『侍タイムスリッパ―』は随所に笑える要素が含まれており,そのような場面で,居合わせた観客の方々と笑うという行為はとても映画館に来ているなぁと感じさせてくれました。
ひとり自宅で観ていたとしたら,決して味わえることのない体験です。

 

便利になった今の時代に,わざわざ映画館へ足を運んで鑑賞しようと観客に思ってもらうために,映画製作者サイドはきっと様々な工夫を凝らしておられるのでしょう。
そんなふうに,サービスを提供する側の人たちの努力に少し思いをはせたりもしました。
種類は異なりますが,私自身もデイケアというサービスを提供するスタッフの一人として,リサーフに足を運んで頂けるだけの価値を提供できているのか,と改めて考えねばいけないと思いました。

 

M.M.

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