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はなぢがたいへんだったはなし

今年に入り,鼻の手術をしました。花粉症と鼻炎が年々ひどくなり,ネットで見かけて決意したのです。先生からは薬でも治療可能といわれたのですが,早く良くなるならと気楽に考え,鼻の中の歪んだ骨を治したり,粘膜の炎症を抑えるような手術を一泊二日で受けました。手術自体もまさかの連続でして,もう想像以上のどえらい経験となったのですが,今回はその先の話をば(手術のことは,またの機会があれば)。

 

術後しばらくは大量出血のリスクがあるとのことで注意して暮らしておりましたが,手術から約1ヶ月後,ついにその日が。諸事情で急遽遠方への帰省が必要となり,慣れない家で過ごしていた夜。急にきました,鼻血が。どうでもいいことですが鼻血って字がなんかこわいので,ここからははなぢと記します。

私は知っています。焦ってどうにかしようとしたり,泣いたり興奮するとやつらの暴走はひどくなります。深呼吸して一旦落ち着きます。止まりません。慌てません。軽く横になり小鼻を押さえ過ごします。止まりません。ティッシュが一箱空きました。家族は皆寝ています。その家族といっても大人ひとりに子どもがふたり,起きていたとしても戦闘力弱め。むしろ寝ててありがとう。私だけが挑む静かな戦い。止まりません。さすがに不安になってきます。時計をみると2時間ほど続いています。さすがに慌てます。携帯で「はなぢ どのくらい続く 危険」検索。

 

―――「はなぢが2時間以上続く場合,早急に救急外来を受診してください」・・・?

そんなことって―――。

「こんな田舎で!こんな夜中に!まさかのはなぢで!救急車!」

全私がつっこみを入れます。

緊急に家族会議をした結果,はなぢの勢いもすさまじいため救急車にお世話になることに。

 

救急に運ばれることとなりましたが,ここからすこし不思議なことが起こります。実はこのとき,急に祖母が亡くなり,お葬式のために田舎に帰省していたのでした。こんなタイミングでこんなことが起こり,各方面に迷惑をかけ,自分でも情けないやら,お別れはどうなるのかと不安でいっぱいな中,気づけば運ばれた先は祖母が数日前に旅立った総合病院でした。鼻を圧迫止血をしてもらいつつ(めちゃくちゃ痛いのですがはなぢブーの私にそんなこという権利なし),体感5メートルくらいあるガーゼを鼻につめられつつ,「はなぢでしにますかあ」とうわごとのように何度も繰り返し唱える私に,処置してくれた先生はなんと祖母の主治医でした。その後入院した病室は,祖母の病室の隣だったことまで判明。

遠方であることもあり,お見舞いも行けずなかなか会えずじまいだった祖母。「お世話になるならこの先生にしとき。この病院きれいやろう。少し休んでいき」と,ここまで導いてくれたかな,とすこし感じました。

一時は葬儀の参列も難しいかと考えましたが,朝になんとかはなぢが止まりました。祖母ともお別れをすることができました。

まさかはなぢで救急車に乗り今朝まで入院し,マスクの下に大量のガーゼで鼻を塞いだ人間がこの場に横にいるとは,そこに来てくださった方の誰が想像したでしょうか。

一方で,逆もしかり。横にいる方の状況を,私はどれほどわかっていたでしょうか。

 

 

人は,外側から見えない苦しさを抱えていることがあります。

いつもと変わらない笑顔のあの人も,前日に人生で一番つらいできごとがあったかもしれません。

人は,外側からは見えない強さを秘めていることもあるでしょう。

いつも誰かに助けられてばかりの自分だと思っていても,実は反対に誰かを助けていることもあります。

 

目に見えているものが全てではないこと。

人のすべてを理解することなどむずかしくもあること。

それでもすこし想像して,分かろうとしてみたいこと。

 

 

ここで急な急なご案内になりますが,デイケアリサーフにて現在実施している,心理系プログラムの『メタ認知トレーニング』は,上記のような点を大事に考えています。

なんのこっちゃのはなぢ話からのご案内で,ちょっとむりある流れかなとはうすうす気づていますが。

よろしければ,ご参加お待ちしています。

 

 

運ばれた病院で,最期に祖母の感じていた空気を少しでも味わえたことを考えると,はなぢもふきだしてくれたかいがあったかもな,と今ほんの少し感じます。

すこし不思議な,そんなご経験ありますか?

リサーフで聴かせてくださいね。

F.N

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