ユーモアは日常に必要か?
前回のブログには色々な方に反応いただき,ありがとうございます。
事件から半年以上でしょうか,あれ以来とりあえずは流血騒ぎなく,ここまで経過しております(はなぢではないですが,またもや最近ちょこっと命の危機感じる事案がありました。が,今日のところはそれについては封印)。情けない話ではありましたが,何人かの方に笑っていただけ,それだけでもはなぢブー垂れたかいがありました。
できることなら,身に降りかかる事件もなんでもおもしろく,ユーモアや好奇心をもってすごしたいなという気持ちが常々あります。
「大ピンチずかん」という絵本をご存知でしょうか?
鈴木のりたけさんという作家が描いている,日々にあるあるなピンチな場面を紹介している本です。子どもたちの間で大人気で,少し前に3巻目が出ました。
すこし個人的な話になりますが,昨年あたりまで,私のむすこは保育所に行くのが中々大変で,一年間ほぼ毎朝泣いて泣いて泣いて登園していました。その頃はとくに失敗が怖かったり,人と違うことの不安が強い傾向があったように思います。そんな子どもにヒットしたこの本。
「学校で先生をおかあさんって呼んじゃった・・・あるあるー!!!」
と盛り上がるうちに,失敗=破滅的な状況と決まっているわけではないんだ,ということをだんだんと学んでいったのかもしれません。
ある日のこと。
「今日さあ,トイレにゆっくり行ってみたくてさ~めっちゃゆっくり行ってゆっくり手洗ってゆっくり歩いて戻ってみたらさ,お部屋でもうみんな座っておともだちの誕生日会が始まってて,お歌うたってたよーーーー!!大ピンチ!!ピンチレベル90!!わはは!!!」とのご報告。
以前の彼ならそんなことがあろうものなら,夕方までくよくよしていたでしょうが,本人にとっての逆境も,ガハハ!と笑いつつ,毎日生まれるピンチのひとつと捉えられていることに少し驚き,たくましくなったなと嬉しくもなりました(ゆっくりトイレにチャレンジする遊びはいかがなものか,と思うけれど)。
成長の段階もあるでしょうから,この本だけのおかげではないかもしれませんが,ピンチもユーモアもって捉えるという感覚を覚えたきっかけになったのではないかなと思います。
ピンチな状況をもどう捉え,いかに柔軟に考えるか。
ユーモアもって日々やり過ごせることが,逆境を超えることにもつながる一つの方法なのかもしれないと考えさせられました。
しかし,ユーモアで乗り切ると言ったって,「ユーモアセンス輝く芸人さんとは違って,自分はそんなに秀でたおもしろさを持っているわけでもないしな」と思うこともあります。
ユーモアの力,とは一体何なのでしょうか?
心理学でのユーモア研究を少しばかり調べてみたところ,ストレス対処やメンタルヘルスの向上につながるユーモアの力には,大きく2つの過程がありました。
ひとつめは,ユーモア産出とよばれる「ネガティブな状況や出来事をユーモラスなものとして捉え直すこと」。
ふたつめは,ユーモア共有とよばれる「ネガティブな状況や出来事を他者に笑い話として話す/返してもらうこと」。
これらが情動(感情)の調整,つまり精神的な安定に役に立つ要素と考えられるようです。これらの過程が,憂うつな感情を低減する効果があるとの研究結果も出ているそうな。
自分にとってネガティブに感じられる状況を自分なりに「おもしろく」捉えなおすことができるかどうか。さらには,それらのユーモラスな状況を他者と「笑い話」として共有することができるかどうか。
自分に置き換えて考えてみると,確かに失敗に自分自身の中でつっこみを入れている段階よりも,それを人とおもしろく「分かち合う」「笑い合う」ことから気分を切り替えたり,笑いあえた人とのつながりを感じて心暖まったり,今後に活かそうと整理をつけられることが多いかもしれない。
個人的には興味深く感じた点でした。
もちろん,しんどいときに無理に笑わなければならないわけではないし,人間どう切り替えようとしてもさっぱり笑えないときもあります。笑ってる場合ではないこともあるし。
一方で,一瞬でも人と笑い合うことに助けられる日があることも事実だな,と思います。
そして,ユーモアは諸刃の剣でもあり,内容によっては,攻撃や自己卑下につながることもあります。言わずもがな,ここで取り上げたいのは自己や他者を過剰に攻撃する形ではない笑いです。自分や誰かを傷つけないような,やさしくつながりのある笑いが連鎖していくとよいなと思います。
リサーフでも,何でもありプログラム(ご利用者にやりたいことを自由に企画してもらう時間←何か案ある方はぜひご企画ください!)での落語が大人気であったり,笑いヨガのプログラム(笑うことで免疫が活性する科学的な裏付けあり!)があったり,「笑い」の力の偉大さを感じます。
さて,デイケアで「ユーモアの力」を使って何か新しいプログラムができないか。今流行りのAIに,おもしろ半分で聞いてみたところ,「ジョーク共有タイム」プログラムなるものを提案されました。
ジョーク共有タイム。
なんとも危険な香りがしますが,いちど検討してみましょうか。
…ジョーク共有タイムプログラム。
やっぱりやめておきましょうか。
F.N.





