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人生の選択

 今年は、お正月に能登半島地震があり、同じ日本で起きたとは思えないような悲惨な映像をたくさん目にしました。たくさんの方がお亡くなりになられましたが、その中には、たまたま実家に帰省していたために亡くなられたご家族もおられました。「もし、帰省していなければ…」と、残されたご家族の方はお考えになられたと思います。「あの時、~していなければ」と何度も考え、後悔の念にかられるのは、本当につらいことです。
 人生において、人は何度も選択をせまられます。そして、とてもつらい経験をするたびに、もし、違う選択をしていたら幸せだったかもしれない。こんな不幸な目にあわなかったかもしれないと、誰しも一度は考えたことがあると思います。
 でも、実際は、違う選択をした人生がその後どうなったのかはわかりません。それに、何度後悔しても、選択をやり直すことはできません。そんなことは、みんな頭ではわかっているのですが、人は、やはり「あの時、~していなければ(~していれば)」と後悔します。
 人は、過去にも、未来にも生きることはできません。過去を何度悔やんでも、未来を何度心配しても、生きることができるのは、今この瞬間だけです。でも、過去や未来に意識を向けてしまうと、今この瞬間を楽しむことができなくなります。次の選択、つまり、今の行動が正しいのか、正しくないのか。今していることが良いことなのか、悪いことなのか。そう考えて、今この瞬間の「生きる」に対して、様々な価値判断をして不安になります。そうすると、心が疲れ、そして、自分の人生に対して、いつも「間違っているかもしれない」と思うようになるのです。
 今を生きるためには、今この瞬間の選択や行動が、正しいかどうかという判断をしないことが大切です。
 能登半島地震で、経営していた旅館のあちこちが壊れてしまい、すべて修繕するには何千万円もかかりそうなので廃業するかもしれないとテレビのインタビューで答えていた方がおられました。しかし、そのインタビューの最後の方で、「でも、毎日家の中を掃除していると、もしかしたらまた再開できるかもしれないと思うことがあるんですよ」と笑顔で話されていました。先のことを考えれば、暗い未来しか思い浮かばないのに、目の前の掃除のことだけに集中していると、なぜか元気が出てきて、失われた希望がよみがえってくる。それは、なぜでしょうか。

 私たちも、今、目の前のことだけに集中して生きることができれば、「もし、~していれば」「もし、~していなければ」という「選択」や「価値判断」にほんろうされることなく、夢や希望をもって、前向きに生きることができるのかもしれません。

T.A.

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